【株式会社Beer the First】クラフトビールから広がるアップサイクルな商品づくり!これまでの取り組みと最新の挑戦に潜入!

取材協力(左から):株式会社Beer the First 取締役 山川 大介様 代表取締役社長 坂本 錦一様

今回のSDGsインタビュー企画では、かながわSDGsパートナーでもある株式会社Beer the First様にお話を伺いました。
Beer the First様は、クラフトビールにアップサイクルし、新たな商品として生まれ変わらせる取り組みを行っている会社です。
今回は、アップサイクル商品の価格設定における課題や、企業との連携による商品開発についてお聞きしました。
さらに、2026年11月上旬の販売開始を予定している最新商品についても、詳しく伺いました。

サステナブル×クラフトビール!株式会社Beer the Firstの事業とは!

2021年創業で、神奈川県横浜市を拠点にしています。
主に取り組んでいるのは、ビールをテーマにした事業です。
ビールをテーマにした会社ではありますが、廃棄間近の素材などを活用し、サステナブル×クラフトビール をテーマに商品の展開を行っています。

会社誕生の物語

もともと食品会社で働いていて、そのときにフードロスの現状を目にする機会があり、何かできたら思ってはいたものの、組織の中では、なかなか自由に動けない環境でした。
ちょうどそのタイミングでコロナ禍になり、自分の好きなクラフトビールを家で作ってみたいと思ったのですが、酒税法などによって自分で作ってはいけないというルールがありました。
法律上作れないのであれば、仕事としてトライしてみようと思ったことが、会社を立ち上げたきっかけです。
もともと廃棄されてしまう状態のものや、フードロスをテーマに、何かできないかと考えていたことが背景にあります。

「体験」から生まれる、社会への貢献

僕たちとしては、お酒、特にビールは冠婚葬祭など幅広い場面で親しまれているものなので、お酒を通じてアプローチすることによって、楽しくフードロスを削減していきたいと考えています。
実際に商品を体験していただきながら、社会に貢献できる取り組みを目指しています。
ただ、それを表に出しすぎるというよりは、気づいたら、そういう消費をしていたというところに持っていけるように意識しています。

『12.つくる責任 つかう責任』アップサイクル事業の取り組み

サステナブルな取り組みではありますが、さらに細かいテーマに分けて考えると、「アップサイクル」が、枠組みとして一番フィットしているポジションだと思っています。
アップサイクルとは、普段廃棄してしまうものを、より価値の高いものに変えていくことです。
一方で、食品を飼料にしたり、肥料にしたりするなど、少し価値が変わって別のものに変える場合は、ダウンサイクルと呼ばれています。
もう一度、新しい価値として戻ってくるのがアップサイクル、という位置づけかなと思います。
ただ、アップサイクルという言葉は、まだまだ認知度が低いのが現状です。
僕たちも、アップサイクルという言葉をすごく押し進めているわけではなく、より消費者が理解しやすい言葉に置き換えながら、商品の文言を変えたりしています。
より分かりやすく、認知度の高いサステナブルという言葉を使いながら、そこからさらに理解を深めていただいているお客様には、アップサイクルという言葉が伝わるようにホームページにはアップサイクルという言葉を入れるようにしています。
今後は、アップサイクルという言葉の認知度をもっと広げていけるといいなと思っています。

素材との出会いから生まれる、アップサイクル商品

ビールと相性の良い食材はいくつかありますが、1つ目は炭水化物です。
麦芽の代わりに炭水化物を一部使用し、同時に発酵させていく製法もあります。
フルーツもビールもすごく相性のいい素材なので活用したりしています。
炭水化物については、この素材で一緒に商品を作りませんか?と提案することもあれば、商談時に、この素材で何かできませんか?とご相談をいただくこともあります。
ラーメンの麺からビールをつくるというのも、その一つです。
最初は炭水化物にフォーカスしていたので、パンやご飯、麺などをピックアップしていました。
その中で、大きな会社さんや、取り組みを広げていけるような企業さんと組めないかと片っ端からアプローチした結果、お返事をくださったのが一風堂さんでした。
一風堂さん側にビジネスとして大きなメリットがあるわけではありませんが、社会性や僕たちの取り組みに共感して、一緒に取り組んでいただいています。
大企業がこうした活動に取り組むことで社会的なインパクトが生まれますし、僕たちの発信力も広がっていく。そういう意味でも、本当に意義深い取り組みだと感じています。

アップサイクル商品の価格への課題

アップサイクル商品はどうしても単価が高くなってしまうことを課題として認識しています。
消費者としては、ロス品を使っているなら安いんじゃないの?というマインドになってしまいます。
ただ、実際には原価構造上、どうしてもある程度の価格帯でしか商品展開できないというのが大きいです。
僕たちの商品も、ほかの会社さんの商品より価格が高かったりしますが、ギリギリ手が届くラインを極力意識するようにはしています。
サステナブルということが全面に出すぎると、消費者にとって必ずしも購買行動につながる要素になるとは限らないと思います。
また、サステナブルということが全面に出すぎると、それが必ずしも消費者の購買行動につながるとは限らないと思います。
そもそもお酒も嗜好品なので、飲む人、飲まない人がいます。
その中でも、サステナブルだからという理由だけで商品を進んで手に取る人は、日本ではまだあまり多くないのかなという感じはします。
なので、僕たちは商品そのものの魅力を大切にしています。
サステナブルは、あくまでサブテーマぐらいにして、ほかの魅力をしっかり出していく。
そうすることで、価格が多少高くても「買いたい」と思ってもらえる理由になると思います。
理想を言えば、「高くてもこのブランドなら買う」と、皆さんに思っていただけるブランドになることです。
例えばハイブランドも、価格が高くても買いますよね。そこには、ブランドそのものの価値があるからです。
僕たちも、今そこを目指しています。
自分たちのブランドをしっかり育てていって、「価格が高いから買わない」のではなく、「ちゃんといいものだから買う」と思ってもらえるようなブランドにしていきたい。
価格ではなく、ブランドそのものの価値で選んでもらえるブランドになることを目指しています。

『17.パートナーシップで目標を達成しよう』ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)での株式会社 明治さんとの出会い

明治さんとは、神奈川県の「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」がきっかけです。
明治さんが「脱脂粉乳の有効活用」というテーマを出されていたので僕たちも応募し、神奈川県の審査やプレゼンテーションを経て採択され、一緒にプログラムを進めていくことになりました。

新素材×新カテゴリー、未知への挑戦

僕たちも、炭水化物とフルーツは扱ったことがありましたが、脱脂粉乳のような新しい素材で商品をつくること自体が初めてでした。
また、ビールだけではなく、ラインナップのカテゴリーを広げるトライアルもしてみたかったので、脱脂粉乳を活用できるミルクサワーという形で、最初は展開していきました。
僕たちはビールがメインだったので、サワーをつくることも初めてでした。
新しい素材を使いながら、新しいカテゴリーの商品をどうつくっていくかというところも課題でした。
さらに、プログラム期間は半年もないくらいの短い期間でした。僕たちの場合、通常は半年から8カ月くらいかけて商品をつくるのが平均的なのですが、今回は4カ月ほどである程度の結果を出し、商品化まで進めなければいけない枠組みでした。
明治さんとしては、プログラム期間内にテストマーケティングをしたり、プロトタイプやサンプルをつくったりするくらいのイメージだったんです。
一方、僕たちとしては、商品化するところまでをテーマにしていました。
そこで、飲みニケーションを挟みながら、実は僕たちは商品をつくるところまでやりたいんです。そこまで一緒にやりましょうとお伝えしました。
意外と話してみたら、明治さんもそれも全然やりましょうという感じだったので、そこから商品化をゴールに逆算していきました。
商品をつくるとなると、どういう商品にするのかなど、考えることがたくさんあります。
そこから逆算することで、具体的なスケジュールも引けるようになりました。

販路開拓と新たな市場への広がり

まずクラフトビール市場の中では、大半の商品がスーパーに並んでいないという状況があります。
クラフトビールの醸造所は、今、日本に1000カ所ぐらいあります。
ただ、実際にスーパーに並んでいるクラフトビールは、1個か2個、多くても3個ぐらいしかないですよね。
そうなると、大半の商品は、クラフトビールの専門店や、専門的なバーなどで展開されています。
売上規模で言うとスーパーも大きいと思うんですが、醸造所全体の数の中で見ると、スーパー以外での商品展開が中心になっています。
僕たちも、スーパー以外で展開しているクラフトビールから好きになってもらう、という考え方で、そちら向けに商品を展開することを結構意識して、商品を作ったり展開したりしていました。
ただ、クラフトビールが好きな人たちは、やはり専門店で飲みたい、専門店で楽しみたいという人が多く、よりこだわった商品が求められます。
僕たちの商品もこだわり抜いてはいるのですが、クラフトビール業界で求められている、誰々が作っている、ここの醸造所で作られている、こういう新しいアメリカンタイプのビールだ、といったクラフトビール業界のこだわりとは、どこかフィットしていない部分がありました。
実際、明治さんとの取り組み前はクラフトビールファン向けが中心でしたが、大衆向け市場に強い明治さんと開発したことで一般の売り場へも展開が広がりました。
現在はスーパーやコンビニを中心に、クラフトビールのライト層や普段の買い物でたまに手に取る方々をターゲットにしています。
その甲斐あって、SNSで投稿していただいたり、静岡など別のエリアに住む知り合いから「商品を見たよ」と連絡をもらう機会も増えました。
かなり全国的に展開できてきているなと実感しています。

【進行中の新たな挑戦】脱炭素先行地域みなとみらい21地区発 第二弾のクラフトビール誕生

横浜市さんと一緒に取り組んでいる商品があり、2026年4月に発売を開始した、映画館で発生する未利用ポップコーンを活用したサステナブルクラフトビール「YOKOHAMA HOPCORN LAGER」が好評をいただいています。

商品名:YOKOHAMA HOPCORN LAGAR

第二弾として、2026年11月中旬より、規格外品の浜なしとみなとみらい21地区内のホテルの朝食ビュッフェで発生した手つかずの食品を原料に活用したサステナブルなクラフトビール「YOKOHAMA HAMANASHI CHECK-IN ALE」を販売します。
この浜なしは、収穫量も少なく、横浜の農園でしか買えない希少ななしで、8月の土日には、3時間くらい並んで買う人もいるほどなんだそうです。
その中で規格外になってしまう、生果としては流通できない浜なしの果汁と、みなとみらい21地区内のホテルの朝食ビュッフェで発生する未利用食材を原料にした新たなサステナブルクラフトビールの製造を行いました。

商品名:YOKOHAMA HAMANASHI CHECK-IN ALE

ご当地素材を活かした新たな商品展開への挑戦

今、少しずつ取り組みを始めているのが、いわゆるご当地素材を使った商品の展開です。
現在は、山形のさくらんぼを使ったビールや、和歌山のみかんを使ったビールを展開しています。
また、2026年10月12日からは、大分のかぼすを使ったビールも販売しています。
このように、現在は地域の素材を使った商品の開発を強化しています。
自治体さんとしても問題意識を持っているところが多い一方で、具体的なやり方や、まだ取り組めていない部分もたくさんあります。
そういった意味でも、地域の素材を活用した商品開発は、自治体さんにとっても企画として提案しやすい取り組みだと感じています。
地域の商品は、都心部でも非常に需要が高かったりするので、現在はそういった商品の開発を強化しています。
また、よりお土産向けの商品も同時に開発を進めています。
スーパーなどで販売する商品については、僕たちのクラフトビールはギリギリ採用されるラインが400円以下と言われているため、基本的にはその価格帯で展開しています。
他社のクラフトビールは、200円台後半から300円前半の商品が多い中で、僕たちは300円後半になることが多く、本当にギリギリのラインで、スーパーからすると「少し高い」と思われる価格帯ではあります。
一方で、お土産であれば、少し値段が張っても違和感がないという部分があります。
そういったところにも活路を見いだしながら、さまざまなエリアにアプローチしているところです。

株式会社Beer the Firstのこれからの目標と展望

将来的には、やはり日本を代表する企業になりたいと思っています。
クラフトビールはもともと海外の文化なので、日本のクラフトビールを海外に持っていくというのは、ある意味ではまだ珍しい立ち位置になると思います。
輸出量でいうと、日本酒や焼酎など、日本を代表するお酒が好まれています。
僕たちは、日本を代表するような素材を使ってビールをつくっています。
例えば、ラーメンやお米などの日本の素材を活用した商品も展開しており、これまでも日本の素材とブランドビールを掛け合わせた商品開発を積極的に行ってきました。
最終的には、日本のビールとして世界で戦っていけるような立ち位置を確立し、世界に通用するブランドにしていきたいと思っています。

ご協力いただきありがとうございました。


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