横須賀市の山あいにひっそりとたたずむ木古庭ポンプ場。
かつては地域の暮らしを支えてきたインフラ施設ですが、役割を終えた今は“遊休施設”として、静かに眠っていました。
その木古庭ポンプ場が、いま「養殖事業の拠点」として新しい命を吹き込まれようとしています。
電気工事・太陽光発電の施工を行うサンエーが養殖に挑戦する理由は、エネルギー問題と正面から向き合うためです。養殖設備はポンプやろ過装置、温度管理など、多くの電力エネルギーを必要とします。一方で、そこで育つエビは、人が生きていくための「食料=身体を動かすエネルギー」になります。
電気のエネルギーと、食としてのエネルギー。その両方を、同じ現場の中でどう循環させていけるか――その問いに取り組むのが、木古庭ポンプ場でのチャレンジです。
日本の食料自給率は長く低水準で推移しており、海外からの輸入に大きく頼っている現状があります。もし、地域の遊休施設を活用し、再エネと組み合わせた養殖によってエビのような水産物を安定して生産できるようになれば、「電力」と「食」という二つのエネルギーを、地域の中でまわしていく一歩になります。
また、今回は「産官学」連携という点にも大きな意義があると考えています。
神奈川県様からは、木古庭ポンプ場をはじめとした水道関連の遊休施設を活用の場として提供していただいており、「眠っていたインフラ」を地域の新しい資源として生まれ変わらせる後押しをいただいています。さらに、神奈川大学様からは養殖分野の知見をお持ちの教授の方に参画いただき、水質管理や飼育環境の設計など、専門的なアドバイスを継続的にいただいています。
再エネと一次産業を組み合わせるアイデア、子どもたちや地域の方々が「これが未来の当たり前」と感じられる学びの場――そうした未来へのタネも、この小さな養殖場から育てていきたいと考えています。
