
業種:クリーニング業
所在地:埼玉県桶川市
「見えない貢献」を、形に変える
静かな語り口の中に、確かな信念がにじむ。
今回お話を伺ったのは、株式会社ハートリンクス 専務取締役の髙安敏行様。
太陽光発電の導入をきっかけに始まった今回の取材は、やがて同社が長年大切にしてきた「人」と「企業文化」の話へと自然に広がっていった。
株式会社ハートリンクス様について
―事業について教えていただけますでしょうか。
当社グループは、もともと「ホワイト急便」に代表されるクリーニング事業からスタートいたしました。その後、介護領域へ参入し、福祉用品のレンタル事業(介護用ベッド・車椅子などのレンタル)を展開しています。さらに、理美容業の「サンキューカット」、介護の居宅介護支援事業、デイサービス、訪問介護事業へと事業を拡大してきました。また近年では、人事評価・人材定着に関わる企業文化形成のシステムを提供するなど、多角的な事業展開を進めています。

株式会社ハートリンクス 髙安敏行専務取締役


誰もが知る、街のクリーニング屋さんの「ホワイト急便」
取材を行ったのはページのトップを飾る桶川工場前店で、
工場の屋根には当社で施工を行った太陽光発電システムが積載されている。
太陽光発電の導入は、当社の代表の言葉を聞いて
太陽光発電の導入を検討するきっかけとなったのは、経営者交流会で当社代表・庵﨑のプレゼンテーションを聞いたことでした。
お話を聞く中で、「自社の事業にも十分にマッチするのではないか」と感じたことに加え、電気代高騰への対策、そして環境配慮の視点が、今後の事業運営において重要な要素になると判断されたそうです。
過去には、別業者から「工場屋根には太陽光パネルを載せられない」と言われた経験もあり、導入は難しいものだと思われていました。しかし、当社が現地調査を行い、設置可能であることをご説明したことで、太陽光発電が現実的な選択肢として一気に前進しました。

高かった電気代の今
電気代が最も高くなるのは夏場で、特に8月には月60万円近くになることもあったといいます。
しかし、太陽光発電の導入後は、その電気代が約半分程度まで抑えられるようになりました。日によっては、電力消費の6〜7割を太陽光で賄えていると実感されているそうです。
工場内では、乾燥機やエアコンが特に電力消費の大きい設備ですが、導入後はピークデマンドを過度に気にすることなく、必要な設備を必要な分だけ使えるようになりました。電気代を理由に設備投資や空調使用を我慢する必要がなくなったことは、事業運営において大きな安心感につながっています。

クリーニング業に欠かせない乾燥機は電力消費が大きく、稼働時間も長い設備です。
太陽光発電システムの導入により、そうした電気使用量の多い工程で電気代削減につながっています。
また、昔と比べ発電効率や太陽光パネルが格段に進化していた部分も今回の決め手の一つだったと言います。
その後は太陽光発電から経営の話へとつながり、同社が経営上大切にしていることを伺いました。
社員への還元を目的とした、新年会という取り組み
ホームページを拝見すると、毎年芸人の方を招いた新年会を開催されている点が印象的でした。この取り組みについて伺いました。
髙安専務によると、最大の目的は「社員への還元」。
埼玉県桶川市など工場を構える地域では、著名な方と直接触れ合う機会は多くありません。だからこそ、非日常的な体験を社員に楽しんでもらいたいという思いから、新年会を企画しているそうです。
実際に参加した社員がSNSへ投稿すると、「良い会社だね」「楽しそうな職場だね」といった反応が寄せられることも多く、社内外へのポジティブな影響を感じているとのことでした。
こうしたイベントが社員満足度の向上につながり、結果として定着率や採用面にも良い影響を与えていると話してくださいました。

今回の取材には、当社の営業担当も同席させていただきました。導入検討にあたり、目先のメリットだけでなく、
中長期的な視点を踏まえた誠実な提案姿勢をご評価いただきました。
芸人さんを呼んで、SNS等に投稿することで反響が生まれる。
その取り組みには社員だけでなく、社員の家族や友だち、社員を支えている「周り」にも意識が向けられていることを強く感じました。
数字では測れない仕事を、どう評価するか
髙安専務は、株式会社笑認の代表取締役として、人事評価システム「パノラマ人事評価」の開発にも携わっています。
その背景には、評価の難しさがありました。
ハートリンクスグループには、営業職のように売上などの数字で評価しやすい職種と、事務職や施工スタッフ、介護職など、成果が数字に表れにくい職種が混在しています。
例えばデイサービスでは、資格の有無だけでは測れない価値を持つスタッフが多くいます。資格はなくても、利用者様から親しまれ、その存在がサービスの満足度を高めているケースも少なくありません。
しかし、そうした貢献が評価されないままだと、不公平感が生まれ、離職につながる可能性もあります。そこで重要になるのが、「見えない貢献」をどう評価するかという視点でした。
もちろん髙安専務が店舗や現場に常駐できるわけではありません。
だからこそ「見えない部分をいかに評価できるか」が重要で、役員として課されているミッションだと語っていました。
スタッフ同士のコメントで、貢献を可視化する
同社が導入したのは、上司だけでなく、スタッフ同士のコメントによって評価を行う仕組みです。
日常業務の中で感じた良い行動や努力を言葉にし、それを表彰状としてまとめています。
評価面談では、半年に一度、周囲から寄せられたコメントを本人に渡すことで、
自分では気づきにくい強みや成長を実感できるようにしています。
この仕組みによって、評価される側の意識が高まり、細かな指示を出さなくても自然と行動基準が維持されるようになりました。経営側にとっても、社員一人ひとりの頑張りを把握できるため、より納得感のある評価や還元につながっているそうです。

誰もが考えたことのある評価の基準へのアンサー
「人事評価」に留まらず、ほかの人からの声や評価は自分の存在意義を感じられる素敵な制度です
また髙安専務は、『離職率1%の会社が編み出した超人財定着術』を著されており、現場での経験と試行錯誤を重ねて構築された、人材定着を本気で考え抜いた人事制度を実践されています。
「誰と働くか」を大切にする組織づくり
若手の早期離職やミスマッチが課題となる中、髙安専務が重視しているのは「誰と働くか」という視点です。
仕事内容や待遇だけでなく、認め合いながら成長できる環境があることで、社員は将来像を描きやすくなります。その考えを広めたいという思いから、人材や企業文化に関する書籍も執筆されました。
今後も、互いの強みを認め合いながら成長できる組織づくりを続けていきたいと語る髙安専務。その姿勢は、ハートリンクスグループの事業と人を支える大きな軸となっています。
また、今回は当社のインターン生も取材に協力してもらっていたので、就活中の大学生には凄く刺さる時間だったのではないでしょうか。

左:当社営業担当 右:当社広報担当
貴重なお時間いただきありがとうございました。
編集後記
今回の取材を通じて強く印象に残ったのは、制度や仕組みの話以上に、「人をどう見ているか」という姿勢でした。
数字では測りきれない現場の貢献にきちんと目を向け、言葉にして伝える。
その積み重ねが、結果として離職率の低さや組織の安定につながっているのだと感じます。
今回のインタビューが、企業にとっての「人材」と「エネルギー」をどう捉えるかを考えるきっかけとなれば幸いです。