コミュニケーションの新常識、「聴す」とは
株式会社こころ様協力の下、コミュニケーション研修が行われた

10月15日、横須賀市福祉会館にてコミュニケーションをテーマとした研修に株式会社サンエーが参加しました。部署や役職の異なる参加者が集まり、普段の業務から少し離れて、自分自身の内面や対話の姿勢について振り返る機会となった。今回の研修では、メタ認知、潜在意識、自己客観視という三つの観点が軸として据えられていた。
今回ご協力くださった株式会社こころ様は、心理カウンセリングやメンタルヘルスを軸に、企業向けセミナー、カウンセラー養成講座、そして「メンタルジム」と称する心と身体のケアを気軽に受けられる場の全国展開を手がける会社です。日頃から「誰もが手軽にメンタルトレーニングを受けられる社会」を目指し、メンタルケアの重要性と必要性を広く発信することを企業理念とされています。
研修の中で大切なキーワードがある。それが「聴す」という言葉だ。
「聴す(ゆるす)」とは
「聴く」という単語が使われているが、これは単なる傾聴ではなく、相手の言葉に評価や助言を差し挟まず、遮ることなく受け止める姿勢を意味するものとして提示された。相手の話を“そのままにしておく=許す”という感覚は、言葉以上に深い含みを持ち、参加者もその難しさと奥行きを感じ取っていたようである。
部署の垣根を越え、社員全員が参加 私たちの「癖」に意思疎通のヒントあり
研修ではまず、私たちが日常のやり取りの中でどれほど自分の価値観や思考の癖に左右されているかが示された。会話における“反射的な判断”や“聞く前に結論を予測してしまう癖”は、誰しも無意識のうちに働いている。そうした自動的な反応に気づき、自分の心の動きを一段高い視点から眺め直すことが、良質なコミュニケーションの出発点であると強調された。
講師を担当していただいた杢代様 前年度から引き続いて本コミュニケーション研修、プログラムの講師を務める
自分の「癖」を知ることは自己を知ることに繋がる。
まずは自分がどんなことに歓びを感じるか、自己分析のワークを行った。
自己分析後はみんなでアウトプット
次に自己分析を行った結果を三人一組で発表し合った。実施されたワークでは、一人が話し手、一人が聴き手、もう一人が観察者を務め、それぞれが異なる立場からコミュニケーションを見つめ直した。話し手は「遮られない安心感」に驚き、聴き手は「沈黙に向き合う難しさ」を体験し、観察者は「相手の表情や姿勢が会話に与える影響」を客観的にとらえた。三者が役割を交代しながら進められたことで、普段の自分の振る舞いがどのように相手に影響しているかが浮かび上がる構造になっていた。
本研修では、組織効力感の向上がもう一つのテーマとして挙げられていた。
「効力感」というのは、「自分ならできる」というマインドのことであり、一般的にはスポーツ選手が高いとされているようだ。
各々の自己効力感を総上げし、組織効力感の向上へと繋げていく。その為には真の意味での「聴す」姿勢、
コミュニケーションが必要不可欠であると認識した。
コミュニケーションとは
今回の研修は、コミュニケーションの技術を学ぶ場というよりも、「自分と向き合い、相手を受け止める姿勢を再確認する場」であったと言える。自分の内側にある判断の癖や、相手の言葉をどう受け止めているかといった内的プロセスを丁寧に見つめ直すことが、結果として組織の空気を変えていく。その気づきを持ち帰り、日々のやり取りの中で実践していくことこそが、本研修の真価であると感じられた。
編集後記
本プログラムは昨年度から組まれているものでしたが、昨年の振り返りというよりは組織効力感や「聴す」というテーマに、より新しいステージへ向かうキーとなる一日となりました。言葉を挟まず、ただ耳を傾けるーそれは一見シンプルに見えるかもしれませんが、自分の価値観や思考の癖がいつも立ちはだかっています。コミュニケーションは技術ではなく「態度」であることを改めて感じました。




