【原貿易株式会社】リユーストナー関連部材とベビー・キッズ用品を展開!『人と環境に優しい事業で​社会に貢献する』企業の取り組みとは?

取材協力(左から):日高 裕斗 (機能部材・製品部 営業)、本多 実夏子(4good事業部 アスリート社員)、内田 真衣(4good事業部 事業部長補佐)

SDGsインタビュー企画 第2弾!
今回は原貿易株式会社様の、人と環境に優しい事業で​社会に貢献する、サステナブル経営についてお話を伺いました。
リユーストナーを通した環境負荷の低減や、ベビー・キッズ用品の開発、さらにはお互いさま・おかげさま・ありがとうの精神で行う柔軟な働き方の推進まで。
事業活動と社会貢献を両立させる背景にある思いや、現場で直面する課題、これからの展望について伺いました。

原貿易株式会社の歩みと、現在の事業

創業71周年を迎えた原貿易株式会社は、絹の織物の輸出に始まり、時代の変化とともに変遷を辿り、現在はリユーストナーの部材販売とベビー・キッズ用品の企画販売を主力事業として手掛けています。

リユーストナー部材事業

多くのオフィスで使われているプリンターや複合機。
その内部には、印刷に欠かせない「トナー」と呼ばれるインクが入っています。
印刷に使われる材料には、大きく分けて「粉体」と「液体」の2種類がありますが、当社が主に扱っているのは、このうちの「粉体」のトナーです。
トナーを使い切ると、トナーカートリッジの中身は空になります。
空のカートリッジは、一般的には廃棄されたり、回収後に溶かして素材としてリサイクルされたりしますが、実際には消耗した部材を交換することで、複数回にわたって繰り返し使用することが可能です。
使用済みのトナーカートリッジを再利用することは、新たな資源の投入を抑え、廃棄物の削減にもつながります。
一度使用した製品をそのまま廃棄するのではなく、活用できる部分を最大限に活かしながら循環させていくことが、リユーストナーカートリッジの大きな価値の一つです。
交換用トナーをはじめ、リユーストナーカートリッジの再生・組み立てに必要とされるさまざまな部材を提供しています。
この事業のルーツをたどると、当社の原点である絹や織物との関わりに行き着きます。
もともと絹のスカーフなどのアパレル製品を扱っていた当社は、市場環境や需要の変化を受け、当時急速に普及し始めたタイプライター用のリボンテープ事業へ参入しました。
これが、印刷技術分野へ進出する最初の第一歩となりました。
その後、タイプライターからプリンターへと技術が進化する中で、当社の事業も時代の変化に合わせて発展と変革を続け、現在のリユーストナー部材事業へとつながっていきました。

ベビー・キッズ用品の企画・販売

繊維商社として、絹の織物を輸出したり、海外のアパレル製品を輸入したりしてきましたが、さまざまな模索を重ねる中で、一時はアパレル事業から撤退していました。
しかし約15年前、現社長の江守に第二子が生まれ、自ら本格的に育児へ参画する中で子育てグッズにおけるさまざまな潜在ニーズに気付いたことをきっかけに、「世の中にないのであれば、自分たちで作ってみよう」と、繊維専門商社で培った知見を活かす形で、市場開拓に乗り出しました。
そこを足がかりに、玩具・アパレルと、徐々にものづくりの幅を広げていき、現在では主要事業の一つとなるまでに成長を遂げました。

人と環境に優しい事業で​社会に貢献する。原貿易が取り組むSDGs

当社は、「人と環境に優しい事業で社会に貢献する」というパーパスに沿った事業活動をしていくことを、全社で目指しています。
人に優しいベビー・キッズ用品事業、環境に優しいリユーストナー部材事業という2つの主要事業にとどまらず、会社全体として、人と環境の両方に配慮しながら、事業活動と社会貢献を両立する取り組みを推進しています。
なかなかチャレンジングですし、簡単に実行できるものばかりではありませんが、そうした機会があれば積極的に挑戦していこうという姿勢で取り組んでいます。

人を大切にする、その先にある環境への取り組み

脱炭素の取り組みは、最初から脱炭素経営を目指して始めたわけではありませんでした。
当社のパーパスにおいて、「環境」より先に、あえて「人」が記載されているのにも意味があります。社長の江守は、以前から、人、特に社員たちを大事にしなければいけないという想いを強く持っています。
組織を作る上で、社員が働きやすく、やりがいを感じられるような事業や企業活動を大切にし、その先にいらっしゃる取引先や外部の方々にも価値を提供できる企業を目指しています。
その手段の一つがサステナブル経営なのではないか、という考えの下、よりよい組織作りに日々取り組み続けています。
事業とリユーストナー業界をさらに成長させるために本格的に着手した脱炭素への取り組みも、その一環と言えます。
リユーストナーカートリッジは、環境に貢献できる製品であることは間違いありません。
ただ、これまでは「新品より安い」という価格面で評価されることが多かったと思います。
実際には、使用済みのカートリッジの回収から再生するまでには多くの手間や工程がかかっていいます。
しかし、そうした部分はなかなか見えにくく、「環境に良いから選ぶ」というよりも、「安いから購入する」という理由で選ばれることが多かったのが実情です。
今でも、価格面が重視される傾向は残っていると感じています。
ただ、価格の安さだけを価値として訴求していては、ビジネスが大きく成長していくことは難しいという課題もありました。
そこで、リユースによる環境面での価値をもっと正しく伝え、社会に理解していただく必要があるのではないか、という問題意識が生まれました。
そのため、業界や同業他社にも働きかけながら、リユーストナーカートリッジが持つ環境価値をより積極的に発信し、理解を広げていく取り組みを進めてきました。
もちろん、それ以前から少しずつ取り組みは行っていましたが、自分たちから積極的に発信し、周囲に働きかけていこうという方向へ大きく舵を切ったのは、新型コロナウイルス感染拡大の少し前の時期だったと思います。

『13.気候変動に具体的な対策を』 『12. つくる責任 つかう責任』 環境に優しい、リユーストナー部材関連事業

リユーストナーカートリッジの部材を扱う機能部材・製品部では、プリンターや複合機に使われる、ドラムやトナーといった消耗品の仕入れ・販売を行っています。
リユーストナーは、使用済みの純正トナーカートリッジを回収して検査・分解し、充填・交換が必要な消耗品のみ入れ替え、まだ使える部材は再利用します。
そうすることで、プラスチック製のカートリッジ部分などを再び活用でき、結果としてCO2や廃プラスチックの削減につながっています。
当社では、こうしたトナーカートリッジのリユースに必要な部材を国内外から調達し、再生メーカーへ提供しています。まだ使えるものを捨てるのではなく、必要な部分を交換してもう一度活用する。
その循環を部材の供給という立場から支えることが、私たちの役割です。

リユースにおける課題

リユーストナーは、環境負荷の低減につながる製品である一方で、まだ十分に認知されていないという課題があります。
また、リユーストナーを製造するメーカーは複数存在しており、製品ごとの品質の違いを利用者が見分けることは容易ではありません。
さらに、使用済みカートリッジの状態や筐体の個体差などによって品質にばらつきが生じる場合があり、「品質面では純正品のほうが安心」というイメージを持たれることも少なくありません。
こうした課題に対し、業界では品質基準の整備が進められています。
例えば、STMC(標準試験方法)認定企業やE&Qマークなど、一定の基準を満たしていることを示す仕組みがあり、それらを取得・表示することで、利用者に安心して選んでいただける環境づくりが進められています。
当社では、STMC認定インストラクターを擁し、品質基準の普及や認定企業の拡大にも取り組んでいます。
製品そのものの品質向上だけでなく、リユーストナー全体の信頼性向上に貢献することで、より多くのお客様に安心して選んでいただける市場づくりを目指しています。

認証取得による変化

認証取得によって、リユーストナーの品質に対する信頼性は徐々に高まっています。
特に、官公庁などの入札において品質基準の一つとして認証取得が求められるケースもあり、リユーストナーの認知度向上にもつながっています。
また、一定の品質基準を満たした製品であることを明確に示すことで、利用者が安心して製品を選択できる環境づくりにも貢献しています。
一方で、市場には品質管理や環境面への配慮が十分でない製品も存在するため、認証制度を通じて品質基準を明確化することは、適切な製品の普及や市場全体の健全化にもつながっています。

『3.すべての人に健康と福祉を』『12.つくる責任、つかう責任』 人に優しい、ベビーキッズ用品&生活雑貨事業

当社のベビー・キッズ用品事業では、主に玩具とアパレルを展開しています。
玩具の企画開発においては、流行を追って色や形違いの製品を次々に投入するのではなく、親子のコミュニケーションツールになるようなものを生み出すことを意識しています。
社内ではコミュニケーショントイと呼んでいるのですが、その名の通り、コミュニケーションのきっかけを生み出すような工夫をこらすことが、当社のこだわりです。
その一例が、「シリコンラトルボール」という乳幼児向けのシリコン製のロングセラー商品です。
メッシュ状のボールの内部に、シャラシャラと音が鳴るものが入っているのですが、鈴のような音ではなく、あえて赤ちゃんが好む優しい音にしてあります。
公共の場などで、おもちゃが発する音や音量が周りの迷惑になっていないか気になる、というママパパの声も考慮しています。
実際にご使用くださったユーザーの方々から、こちらのおもちゃの音で赤ちゃんが泣き止んだという声が寄せられており、高い評価をいただいています。
担当者のこだわりが、しっかりとママパパに届いていることを実感しています。
これからも、お子さまと一緒にご家族のみなさまも楽しめるような工夫をこらし、見た目、デザイン、色使いといった細部へのこだわりを大切にしていきたいと思っています。
一方、アパレル業界では、廃棄が多いことが長年の課題になっていますが、当社でも、少しでも事業で発生する廃棄を減らしていきたいという想いで、2023年から子育て支援施設などに商品の企画開発などで発生したサンプル品を中心に寄贈させていただいています。

 

捨てないものづくりへ。社内から広がる取り組み

また、サンプル品だけではなく、生地見本用の回収ボックスを社内に置き、作品作りなどで生地を必要とされている障がい福祉関連施設へ提供する取り組みも新たに行っています。
こうした一連の取り組みをプロジェクト化したことによって、社内での認知も広がり、関連部署以外の社員も関心を持ってくれるようになりました。
これまでやむを得ず廃棄していたものが、どなたかの役に立つことは大変ありがたく、今後も無理なく資源活用につながる活動を少しずつ増やしていきたいと考えています。

『8.働きがいも経済成長も』仕事と育児・介護・通院の両立を目指した社内制度の整備と風土醸成

当社では、育児・介護・通院など個々のライフスタイルに寄り添うことに重きをおき、時間休やリモートワークをはじめとする、柔軟な社内制度を設けています。
そうした職場環境によって、育児中の社員やシニア社員、アスリート社員など、さまざまな働き方が可能となっています。
リモートワークはコロナ渦を機に導入し、収束した現在も、仕事と育児・介護・通院などとの両立に有効な働き方として継続しています。
なお、当社はベビー・キッズ用品事業を展開していることもあり、女性比率は70%を超え、仕事と育児の両立が前提となる社員が多数在籍しています。
誰もが長く働き続けられるよう、試行錯誤を重ねてきた結果、柔軟な就労環境が整えられました。

『お互いさま・おかげさま・ありがとう』が生む職場づくり

育児だけでなく、介護や通院との両立にも配慮している制度なのには、理由があります。
それは、介護・通院は、誰にでも起こり得ることだからです。
社内では、<お互いさま・おかげさま・ありがとう>を合言葉に、困った時はお互いに助け合いながら働くという意識を大切にしています。
こうした考え方が、社内の働き方の工夫にもつながっています。

社員を守る、その先にあるサステナビリティ

今の働き方につながるサステナブル経営への転換には、コロナ渦において、社長の江守が「どうすれば社員の生活を守れるか」を必死に考えたことが背景にあります。
そして、会社と社員が互いに協力し、持続可能な関係を築くことが、事業の継続や、みんなが楽しく働ける環境にもつながるという考えに至り、サステナブル経営の推進へ舵を切りました。
その取り組みを加速させるために江守が発足したのが4good事業部です。
社外への取り組み内容の発信に加え、社内外に向けたブランディング、事業への実装にも取り組んでいます。
サステナブル経営は、担当部署だけが推進するのではなく、それぞれが自分たちの事業をどうSDGsにつなげられるかという視点を持つことが理想だと思います。
ただ、その浸透には時間がかかります。
いわゆるサステナビリティ疲れを招かないよう、社員が無理なく取り組める方法を模索しながら、少しずつ進めていきたいと考えています。

人と環境をつなぐ、原貿易のこれからの挑戦

今後は、サステナブル経営の推進をさらに加速させていきたいです。
特に力を入れたいのが実装の部分です。
思想は明確になっているので、そこからどう社員一人ひとりの実務に落とし込み、自分事化していくかが重要だと考えています。
また、人と環境の両方に優しい取り組みも進めていきたいと考えています。
その実証実験的なプロジェクトが、リユーストナー部材事業の印刷試験から発生する裏紙を活用したアップサイクル文具の制作です。
リユーストナーカートリッジの品質を担保するため、トナーを使い切るまで何千枚もの印刷を行う試験があり、その結果、大量の裏紙(片面が印刷されたコピー紙)が発生するという課題への解決策として、それらの紙を活かしたオリジナルのメモ帳、その名も「裏紙メモ帳」を作成しました。
評判は想定以上で、大変ありがたいことに今月から店頭でも販売いただいています。
リユースではなく、より身近な文具という切り口で、いろんな方に気軽に手に取っていただくことで、資源活用や環境配慮への興味喚起に幅広くつながることを期待しています。

リユースを、当たり前の選択肢へ

リユーストナー部材事業との関わりも深い「リユース」の環境価値を、より広く普及させていきたいと考えています。
リユーストナーカートリッジ自体は、普段目にする機会も少ないため、まだまだ認知はそれほど高くないのが現状です。
そのため、リユーストナーそのものの訴求に加え、「オフィスにおけるリユース」という大きなテーマの下、広い意味で業界全体を盛り上げられないか、と考えています。
例えば、<リユース>を共通項とした地域ネットワークの構築や、家具やパソコンなど、さまざまなオフィス向けのリユース備品・消耗品を集めたプラットフォームの立ち上げなども、面白そうですよね。
現時点ではあくまでも妄想にすぎませんが、将来的には、オフィスの備品が必要となった時に、リユース品がもっと自然に選択肢に挙がってくるような環境を作りたいです。
そのためには、リユーストナーをはじめ、オフィス向けのリユース備品の存在がまだ十分に知られていないという課題に引き続き取り組む必要があります。
より環境に優しい選択肢があることを私たちから積極的に発信し、当たり前の選択肢として定着させていくことが、本当の意味での普及につながると考えています。

ご協力いただきありがとうございました。


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