【TEDxMiuraスピーカー・平松宏城様 特別インタビュー】 二拠点生活から見つけた、これからの豊かな暮らし方

日米の証券会社勤務や環境NPOでの活動を経て、2006年に株式会社ヴォンエルフを設立した平松宏城さんにインタビューしました。
創業以来、民間企業や金融機関、公的機関との横断的な連携を推進し、サステナブルランドスケープやグリーンビルディングの普及に尽力してきた平松さん。
環境・建築・都市計画・ESGなど幅広い分野を横断しながら、持続可能な都市環境の実現に向けた取り組みを国内外へ発信し続けています。
現在は、企業や自治体との連携を通じて、未来の地域や都市づくりに向けたさまざまなプロジェクトを展開。
今回は、二拠点生活を通じて見つけた新しい暮らし方や、これからの地方都市の可能性について、お話を伺いました。

証券会社からの転身!建築・都市デザインのサステナビリティ推進

私はもともと、大学を卒業した後に証券会社に勤めており、兜町で働いていました。
しかし、金融の世界が短期的に儲かればいいという点に注力しすぎていることに疑問を感じ、業界としても、自分の人生としても、ここにずっといてもいいのだろうかという思いを抱くようになりました。
そんな時に、都市デザインやランドスケープデザインの仕事について教えてくれる方と出会い、現在の会社を立ち上げました。
おかげさまで、リーマンショックのような世界的金融恐慌発生に加担することなくキャリアチェンジできたのは幸いでした。
現在は大手ディベロッパーや事業会社が建物を建設したり、街を大規模再開発したりする際に、CO2排出、エネルギーや水の消費、廃棄物をできるだけ小さくする、歩きやすい人中心の街をつくる、快適で働きやすく過ごしやすい環境づくりなど、建築空間や都市デザインにおけるサステナビリティの実現を支援しています。

平松さんが実践する「自然やローカルコミュニティとつながる」新しい生き方の提案

コロナ禍をきっかけに、ほとんどのスタッフがリモートワークをせざるを得なくなりました。
その延長で、私も地元浜松に隣接する湖西市に戻り、リモートワークを始めました。
現地には耕作放棄地が数多くあるため、手入れの行き届いていなかった果樹園を購入したり、古民家を取得したりしました。
現在は古民家を改修したカフェをオープンし、専用農場で収穫した無農薬の柑橘類や平飼いの卵などを活用した、ランチやケーキ、お菓子などを提供するなど、都会にいてはできないような新しい事業も妻が中心となって運営し始めました。
すべての始まりは、コロナ禍によって「リモートワークでも十分に仕事ができる」と気づき、この地に拠点を構えたことでした。

10年来のご縁。朝本さんとの出会い

私が証券会社を辞める時に都市デザインをやりたいと思って、NPOの手伝いをしながらサステナブルランドスケープデザインの先生に伴われてアメリカの各都市を視察している時に、LEED(リード)の仕組みを知りました。
サンノゼで開催されたワークショップに参加した際に、アメリカで建築の専門家としてグリーンビルディングの普及啓発をしている人に出会いました。
その後も色々と教えてくれるメンターのような存在になる彼が、実は朝本さんのアメリカ大学時代の知り合いだったのです。
彼の紹介で朝本さんにお会いし、ウチの事務所の多目的スペースで音楽ライブを企画してくれたことで交流が始まり、気が付けば10年以上のお付き合いになります。
今回、朝本さんからTEDxMiuraのスピーカーとして登壇してほしいとお声がけいただいた時は、正直どういうことだろう、どんなことを話せば全体オーガナイザーとして朝本さんが構想していることに合致するのだろう?という感じでした。
朝本さんは音楽家ですし、自分と違う視点を持っているキュレーターでもあります。
彼女が僕のような人間を見て何を面白いと思ってくれたのだろうな、と。
自分が気づいていないことで、彼女が面白味を見出してくれているのは何なのか、そこに興味があり、ちょっと話に乗ってみようと思いました。

「スマートだけで生き抜けますか」TEDxMiuraで伝えたいこと

私はもともと地方都市で育ち、自然を身近に感じていました。
その後、東京やニューヨークといった大都市で長年仕事をしてきました。
しかし、コロナ禍以降に地方に拠点を持ち、古民家の解体やリノベーション、耕作放棄された農場の草刈りや果樹園の手入れなどやるべきことが増え、とにかく身体を動かす時間が圧倒的に増えました。
身体を動かすことでよく眠れ、睡眠の質が良くなったことで心身ともに格段に健康になったのを実感しています。
また、こうした作業を地域の人と一緒にやることで、人との繋がりや人間関係の濃さを実感します。
大都会では失われてしまったものが田舎には残っています。
地方都市でも中途半端に開発が進んだ場所ではなく、田舎と呼ぶような地域の方が格段にいいですね。
食材も東京のスーパーで売られているものとはまるで違いますし、価格も安い。
野菜や魚介類も新鮮ではつらつとしているものが多い。
全く別物です。
もちろん美味しいのは言うまでもありません。
何でもかんでも便利で効率的な都市の生活だけでは、まずいんじゃないかと思わされるんです。
どういう風に言えばうまく伝わるんだろうと今ちょうど考えているところです。
国土交通省なども二地域居住などを推進していますが、まだピンと来ていない方も多いと思います。
これは別荘を持つということとは違います。
二拠点生活は、一部の特別な人のためのものではなく、もっと当たり前の選択肢になっていくと思うんです。
場所にとらわれずにできる仕事が日本でも増えてきています。
そうした中で、なんで自分はぎゅうぎゅう詰めの大都会にいるんだろう?と疑問に思う人が、これからどんどん増えていくのではないかと思っています。
その一方で、学校や病院をどうするかなど、さまざまな課題が出てくることも事実です。
だからこそ、不足している部分を一緒に整えていきませんか?と発信していきたいのです。
そうした想いに共感してくれるパートナーが現れてくれたらうれしいなと思っています。

私が考える『未来の当たり前』とは

僕は小さな地方都市にすごく可能性を感じているんです。
これからはそうした場所を、住む場所、働く場所、頻繁に訪れる場所として選択する人が、これからますます増えていくと思っています。
スタイルは違っても、「だれでも二拠点」が当たり前になると思っています。
そのためには、地方にまだ足りないものを整えていくことが、これからのビジネスにもなっていくはずです。
何が足りないのかというと、先ほどお話ししたような教育や医療、あとは良質なアフォーダブル(手ごろな)住宅、宿泊施設、美術館や図書館などの文化施設、ライブハウスや古本屋、ギャラリーなど、知的好奇心を刺激するコンテンツやイベントも、まだ不足していると思います。
では、地方を選ぶ人たちは何を目的に訪れるのか。
住むにしても頻繁に訪れるにしても地域のコミュニティとつながれるような、互恵的な信頼関係や人との距離の近さを感じながら、生活そのものを共有できるかどうかが鍵だと思います。
世界中の大都会では「孤独」が大きな問題になっています。
タバコやアルコールと同じくらい健康によくないと言われています。
孤独の解消には人とのつながりやコミュニティの紐帯が欠かせません。
その視点からの滞在型のツーリズムのスタイルも、これから増えてくるのではないかと思っています。
目的はさまざまですが、実際に地方を訪れると、都会では味わえない体験や出会いがあり、自然と心も身体も元気になります。
そうした、日常から少し離れて心と身体を整えられる、避難場所(リトリート)のような場をつくっていきたいと考えています。
そこは、周囲に柵を張り巡らせたゲーティッド(隔離された)なものではなく、地域との多面的な接点があり、地元に雇用を生み出すものでなければなりません。

TEDxMiuraスピーカー 清水ハン栄治さんからのSpecial Question!

静岡にいる時が本当の自分ですか?東京にいる時が本当の自分ですか?

よい質問をありがとうございます。
答えを考えながら、「現在の自己のありようを嫌悪する、本当はもっと崇高な自分がいるはずだ」という自己嫌悪の構図に似ているなと思いました。
というのは、東京にいる自分は便利さをはじめ多くの便益を享受しながらも、(嫌悪というほどの強い感情ではないけれど)このままではいけないと思っているからです。
一方で、湖西にいる自分が本当の自分であると思える自信が徐々についてきました。
これからさらに先に進むには、地元のためになる本当に良いことを、東京等ともつながる「よそ者」として形にするのが大切だと思っています。

TEDxMiura 開催概要

2026年9月27日、三浦市で初となる TEDxMiura を開催!

この度、株式会社サンエーは、「TEDxMiura」においてゴールドパートナーとして協賛いたしました。

DATE:2026年9月27日(日)
VENUE:三浦市民ホール(海に最も近いTEDx会場の一つ)
CONTENT:スピーカー6名のトーク 参加者交流会 TEDx公式YouTube配信
公式HP:tedxmiura.studio.site


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