
ソプラノサックス奏者、レコーディングアーティスト、作曲家として国内外で活躍し、現在はTEDxMiuraのオーガナイザーを務める朝本千可さんにインタビューしました。
長年、東京や海外を拠点に音楽活動を続け、世界を舞台に活躍してきた朝本さん。
現在は三浦を拠点に活動し、2018年には楽器不足や老朽化に悩む三浦市内の中学校吹奏楽部を支援するチャリティーコンサートを企画するなど、音楽を通じた社会貢献にも積極的に取り組んでいます。
さらに、地域の魅力やアイデアを世界へ発信する「TEDxMiura」の開催にも挑戦しています。
今回は、これまで歩んできたキャリアや三浦への想い、そして「未来の当たり前」をいち早く形にする挑戦について、お話を伺いました。
私と三浦との出会い
私は長年、東京や海外を拠点に音楽活動を続けてきました。
バークリー音楽大学卒業後、日本コロムビアからデビューし、演奏活動や音楽制作を通じて世界各地を訪れる機会に恵まれました。
そんな中、ご縁があって三浦に築180年の古民家を持つことになり、暮らし始めたことが三浦との本格的な出会いでした。
当初は、静かな環境で音楽に向き合える場所があれば十分だと思っていました。
実際に暮らしてみると、この町には都会にはない豊かな自然や、人と人との温かなつながりが息づいていることに気づきました。
その一方で、人口減少や高齢化、若者の流出といった地方ならではの課題にも直面しました。
それでも私は、課題以上に、この町には未来を変える力を持った人たちがたくさんいると感じたのです。
なぜ三浦だったのか
私は三浦を選んだというより、三浦に導かれたのだと思っています。
きっかけは、東京に住んでいた頃、三浦青年会議所(JC)のイベントで演奏したことでした。
「三浦をご存じですか?」と聞かれましたが、当時は三浦のことをよく知らず、マグロのお土産まで持ってきてくださったことを今でもよく覚えています。
葉山や逗子までは聞いたことがありましたが、一本の道を進んだ先に広がる三浦には、昔ながらの漁港の風景が残っていました。
そのどこか懐かしい町並みに、思わず「きゅん」と心を動かされました。
週末だけでも暮らせる家があればいいなと思い、当時、不動産関係の知人に良い物件があったらFAXで教えてくださいとお願いしました。
紹介されるのは海辺の別荘ばかりでしたが、私が探していたのは、縁側のある昔ながらの家でした。
理想の家に出会うまで約3年。
最終的に出会ったのが、音を気兼ねなく出せる環境にあり、広い庭と縁側を備えた築約150年の古民家でした。
三浦には海があり、畑があり、人の顔が見える暮らしがある。
そして何より、この町には自分の仕事や活動を通して地域を良くしようとしている人たちがいます。
世界各地で活動してきたからこそ感じるのですが、今世界で求められているのは、こうした地域に根ざした知恵や暮らし方なのではないかと思っています。
私は三浦に、未来の社会のヒントがたくさんあると感じています。
港音楽祭が教えてくれた、音楽で人と地域をつなぐ力
地域との関わりのきっかけは、吹奏楽部支援チャリティー「港音楽祭」でした。
地元の中学生たちが古く傷んだ楽器で一生懸命練習している姿を見て、「この子たちにもっと良い環境で音楽を続けてもらいたい」と思ったのが始まりです。
そこでチャリティコンサートを開催し、収益で楽器を寄贈する活動を続けてきました。
活動を続ける中で気づいたのは、音楽は単に演奏を聴いてもらうものではなく、人と人をつなぐ力を持っているということでした。
港音楽祭には、生徒たちや保護者、先生方、地域の方々、音楽家たちが集まります。
普段は接点のない人たちが、音楽を通じて出会い、応援し合い、新しいつながりが生まれていく。
私はその光景を何度も見てきました。
そして活動を通じて、三浦には本当に魅力的な人たちがたくさんいることを知りました。
漁師さん、医師、教育者、学生、経営者。
皆さんが地域の未来のために行動している。
しかし、その活動は意外なほど知られていません。
私はそこで改めて、「音楽だからこそできることがある」と感じました。
人と人をつなぎ、地域の魅力を見つけ、未来への希望を共有すること。
港音楽祭は、私にそのことを教えてくれました。

TEDxMiuraの原点
大きなきっかけになったのは、私が長く暮らしていたインドネシア・バリ島で参加したTEDxUbudでした。
私はパフォーマーとして参加しましたが、そこで見たのは単なる講演イベントではありませんでした。
オーガナイザーをはじめ、多くの人たちが「この島をもっと良くしたい」「この地域にはこんな魅力がある」という想いで集まり、その土地ならではの物語やアイデアを世界へ発信していました。
その光景を見た時、地域の魅力や挑戦は世界に向けて発信できるということを実感したのです。
そして同時に、これは三浦でもできるのではないかと思いました。
今、世界はますますボーダレスになっています。
インターネットやAIの発達によって、どこにいても同じ情報に触れられる時代です。
だからこそ私は、地域の個性や文化が大切になると思っています。
世界中が同じになるのではなく、それぞれの地域が持つ独自の魅力や知恵を持ち寄ることで、より豊かな社会が生まれる。
TEDxUbudがバリ島の魅力を世界に発信したように、三浦にも世界に伝えるべき物語がたくさんあります。
海があり、畑があり、人のつながりがあり、未来のために挑戦している人たちがいる。
私はその人たちにスポットライトを当てる舞台をつくりたいと思いました。
小さな港町から世界へ。
それがTEDxMiuraの原点です。
テーマ「Re」に込めた想い
「Re」には、
再発見(Rediscover)
再接続(Reconnect)
再創造(Reimagine)
という意味を込めています。
私たちはつい地方には何もないと思いがちです。
でも本当は逆です。
海も、人も、文化も、教育も、すでに素晴らしい資源があります。
それらをもう一度見つめ直し、新しい形で未来へつなげていく。
それがReです。
TEDxMiuraを通じて、この町にも未来を変えるアイデアがある
そして、「自分にも何かできるかもしれない」
そう感じてもらえたら嬉しいです。
TEDxMiuraは単なる講演会ではありません。
地域の未来について語り合い、新しいつながりや行動が生まれるきっかけの場になればと思っています。

私が考える『未来の当たり前』とは

一言でいうと、「小さな町の人たちが、自分たちの未来を自分たちで語ることが当たり前になる社会」です。
これまで地域の未来というと、行政や専門家が考えるものというイメージがありました。
でも私は違うと思っています。
漁師さんも、先生も、学生も、医師も、アーティストも、みんなが地域の未来をつくる当事者です。
その人たちがつながり、アイデアを共有し、一緒に未来を描く。
そんな社会が当たり前になってほしい。
TEDxMiuraは、そのための小さな実験です。
TEDxMiura 開催概要
2026年9月27日、三浦市で初となる TEDxMiura を開催!
この度、株式会社サンエーは、「TEDxMiura」においてゴールドパートナーとして協賛いたしました。
DATE:2026年9月27日(日)
VENUE:三浦市民ホール(海に最も近いTEDx会場の一つ)
CONTENT:スピーカー6名のトーク 参加者交流会 TEDx公式YouTube配信
公式HP:tedxmiura.studio.site
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