ゼロから始まった挑戦——陸上養殖に踏み出すまでとこれから サンエー 鈴木龍成 専務取締役に取材

「最初に聞いたときは、“嘘でしょ”と思いました」

サンエーで専務を務める鈴木は、2011年の入社当初、営業としてキャリアをスタートしました。
現在は、陸上養殖事業の現場に立ち、新たな挑戦の最前線に携わっています。今回は、鈴木のこれまでの歩みと、太陽光発電を主軸としてきたサンエーが、なぜ車海老養殖という分野に踏み出したのか。その背景と現場で感じていることを、客観的にまとめます。

営業から始まったキャリアと、サンエーという環境

鈴木がサンエーに入社したのは2011年。横須賀本社で営業部が立ち上がって間もない時期で、主な業務は訪問販売でした。※現在当社では訪問販売は行っておりません。

職人経験があったことから、訪問販売という営業スタイルも「工事前の挨拶の延長」のような感覚で抵抗なく取り組んでいたといいます。一方で、最初に獲得した案件が唐突に白紙になるなど、価格や条件以前に「信用」が重要であることを、現場で強く実感した経験もありました。

これまで一つの会社に長く勤めることが少なかったという鈴木ですが、サンエーでは15年以上在籍しています。その理由として挙げるのが、常に役割や挑戦が変化していく環境です。

株式会社サンエー 専務取締役 鈴木龍成

そんな中、「嘘でしょ」から始まった車海老養殖事業

車海老養殖の話を初めて聞いたとき、鈴木は率直に「嘘でしょ」と感じたと振り返ります。太陽光発電を主軸としてきた会社で、突然“養殖”という言葉が出てきたことに、現実味はなかったといいます。

きっかけは、取引先との商談をする中で養殖の話題が出たものの、その場では「面白そう」という感触に留まっていました。しかし、その後代表が熊本で養殖を学ぶ動きを見せたことで、事業として本気で動き出していることを実感したそうです。

実際に現場に立つと、生き物を扱う仕事の厳しさを痛感しました。自身の判断ひとつで命を左右する。そのプレッシャーは、これまで経験してきた仕事とは質が異なるものでした。


養殖設備の手入れを行う鈴木
予想外の始まりではあったものの、現在では最前線で引っ張っています。

素人だからこそ、人に会い、聞き、学ぶ

鈴木は養殖について「自分は素人」と話します。だからこそ、現場に足を運び、人に会い、情報を集めることを何より重視してきました。

これは営業時代に培った「相手の話を聞き、本音や必要な情報を引き出し動く力」が、現在の養殖事業で生きているといいます。

養殖事業の先には、海洋環境の変化や食の課題があります。車海老のブランド化だけでなく、養殖そのものが日本の食を支える役割を担える存在になること。それが、鈴木がこの事業に向き合う理由の一つです。

日本の食料自給率は30%と、輸入に頼らざるを得ない状況が続いており、
取り組んでいる陸上養殖はその解消の一つになりうるモデル そういった使命感が心を走らせています

どんな人と一緒に、この事業を育てていきたいか

鈴木が、今後一緒に働く仲間について語る中で繰り返していたのは、特別なスキルよりも「姿勢」の話でした。

「一番大事なのは、素直さと謙虚さ。これがあれば、経験や得意・不得意は後からいくらでも補えると思っています」

陸上養殖は、一人で完結できる仕事ではありません。社内外の多くの人と連携しながら進めるからこそ、相手の意見を受け止め、自分とは違う考え方を尊重できることが欠かせないといいます。

「完璧な人じゃなくていい。いろんなタイプの人がいて、お互いの足りないところを補い合えるチームでありたいですね」

事業の規模が大きくなるほど、人と人との関係性が成果に直結する。そんな実感が、この言葉の背景にはありました。


昨年の社員総会では、開会の言葉を務めました。

編集後記

今回の取材を通じて感じたのは、鈴木が常に「現場」を起点に物事を考えているという点でした。営業として信用の重みを体感し、今は生き物を扱う責任と向き合う。車海老養殖はサンエーにとって新しい挑戦ですが、その歩みは派手さよりも、地道さと継続を大切にしたものだと感じます。
鈴木専務は、「エネルギーがあっても、食がなければ生活は成り立たない」と語ります。太陽光発電を軸にエネルギーインフラを支えてきたサンエーだからこそ、次の挑戦として“食のインフラ”にも関わる意義がある――。車海老養殖事業は、そうした問題意識から生まれた取り組みでもあります。
サンタイムズでは今後も、現場の声から生まれる「未来のあたり前」を記録していきます。

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