
第2期エビ陸上養殖実証実験がスタート!
4月15日(水)、横須賀市にある木古庭(きこば)揚水ポンプ所では2期目となる、エビの陸上養殖実証実験が開始されました。
前回、同施設での育成に成功したバナメイエビに続き、今回サンエーが選んだのは、約1,000尾のクルマエビ。
この記事では実証実験での検証内容や、元気な稚エビたちが水槽に放たれた瞬間の様子をお届けします。
【事業概要】サンエーが目指す、「エビの陸上養殖」の未来
2025年に神奈川県・神奈川大学との産学公連携でスタートした、エビの陸上養殖実証実験。
サンエーがこのプロジェクトを通して目指すのは、陸上養殖最大の課題ともいわれる「設備の稼働に掛かる莫大な電力」を太陽光発電でまかなう、サンエー独自の陸上養殖システムの構築・販売。
「食」というエネルギーを安心・安全に、安定して届ける未来を見据えています。▼旧木古庭揚水ポンプ場での第1期 陸上養殖実証実験はこちら
廃止された水道施設を再利用した養殖場、その内部とは?

実証実験の舞台は、神奈川県横須賀市。神奈川県から借用している旧木古庭(きこば)揚水ポンプ所です。かつては水道の本管から高台へ配水する施設でした。その外観は一見すると、コンパクトな一般住宅のようにも見えます。

ですが中へ入ると、空気は一変。取材日の外気温は20℃ほどでしたが、室内は常に25℃前後に制御され、湿度も高くなっています。
エビの生命を維持するための空調や水温管理設備は24時間稼働しており、陸上養殖がいかに膨大な電力を消費するのかを肌で感じることができます。

水槽の奥に設置されたろ過装置も、今回の実証実験における検証対象です。その具体的な内容については、後ほど詳しく解説します。
バナメイエビとクルマエビの違いとは?

前回の実証実験で育てたのは、スーパーでもお馴染みのバナメイエビでしたが、今回は『姿イセエビ、味クルマエビ』と称されるほど旨味の強いクルマエビです。

両者の違いは希少性や味わいだけではありません。
明るい時間も水中を遊泳することがあるバナメイエビに対し、クルマエビは明るい時間には砂の中に身を潜め、暗くなると餌を求めて海底で動き出すという強い夜行性を持っています。
そのため今回は水槽の底一面に砂を敷き詰め、本来の生息環境を再現しています。
稚エビを水槽へ。いよいよ放流!

こちらがクルマエビの稚エビおよそ1,000尾。生まれ故郷の鹿児島から横須賀へ引越しです。

放流に先立ち、まずは稚エビたちの現在の環境を確認。袋内の水の温度・塩分濃度・残留酸素を測り、水槽環境とのギャップを把握します。

計測後はすぐに放流するのではなく、袋のまま水槽に浸して水温を合わせます。これは急激な環境変化によるショックを抑え、新しい環境にゆっくりと馴染ませるためです。
そして袋内の水温が水槽と同程度になったら、いよいよ稚エビたちの放流です。

水槽を覗き込むと、細長い糸のようなものが無数に動いているのが分かります。その一つ一つがクルマエビの稚エビです。

放流を終えた水槽はすぐに、光を遮断するシートで覆われます。強い夜行性を持つクルマエビを夜の状態に置くことで、活発な活動を促すためです。そして暗室化には他にも狙いがあります。
①ストレスの軽減
明るい環境下では砂の中に潜り続けてしまうため、暗くすることで自然な活動を引き出し、潜りっぱなしによるストレスを緩和する。②共食いの抑制
視覚情報を制限することで個体同士の接触を減らし、共食いのリスクを抑える。
2度目の実証実験のねらいとは?
今回の陸上養殖実証実験における具体的な狙いについて、エビの育成を統括する弊社専務の鈴木に取材しました。
「今回の実証実験には、大きく二つの目的があります。
一つは個体サイズと歩留まりの最大化です。
今回は一つの水槽に注力できる環境を活かし、約半年間でどこまで大きく育てられるかに挑戦します。
あわせて一般的に5割程度と言われる歩留まり(出荷可能な生存率)を、目標である7割にどこまで近づけられるかを検証していきます。もう一つは、生物ろ過におけるコスト最適化です。
微生物の力で水を浄化する生物ろ過システムでは今回、前回よりも低コストな微生物を採用しました。
ろ過の品質を維持しつつ、どれだけコストダウンを実現できるか。その実用性を確認します。」
開始から2か月ほど経つと、エビらしい姿かたちが目視で確認できる大きさに成長する予測とのこと。
サンタイムズでは引き続きこの挑戦を追いかけますので、ぜひ続報にご期待ください!
