太陽光パネルの廃棄問題とは?
太陽光発電はクリーンなエネルギー源として普及が進んでいますが、その裏側で新たな環境問題が浮上しています。それが、寿命を迎えた太陽光パネルの大量廃棄問題です。
太陽光パネルの寿命は一般的に25年~30年とされており、2000年代に導入が進んだパネルが2030年代後半から大量に廃棄される「2040年問題」が懸念されています。環境省の推計によると、2040年頃には年間約80万トンもの使用済みパネルが発生すると予測されており、これは産業廃棄物最終処分場の残余年数を大幅に縮めるほどの量です。
パネルにはガラス、アルミニウム、銅などの有価物に加え、鉛、セレン、カドミウムといった有害物質が含まれている場合があり、不適切な処理は環境汚染につながる恐れがあります。そのため、専門的な知識と技術を持った適切な処理が不可欠です。
太陽光パネルを正しく処理するには
使用済み太陽光パネルは「産業廃棄物」として法律に基づいた適切な処理が義務付けられています。この処理責任は、発電事業者(パネルの所有者)にあります。FIT制度を利用している10kW以上の事業用太陽光発電については、2022年7月から解体・撤去費用の外部積立制度が義務化されており、将来の廃棄に備える仕組みが整えられています。
主な処理方法としては「リユース(再利用)」と「リサイクル(再資源化)」があります。まだ使用できるパネルは中古市場でリユースされ、寿命を迎えたパネルは専門の処理施設でリサイクルされます。個人で処分することは非常に危険であり、法律違反になる可能性もあるため、必ず専門の施工業者や廃棄物処理業者に依頼する必要があります。
進化する太陽光パネルのリサイクル技術
太陽光パネルのリサイクルは、持続可能なエネルギー社会を実現するための重要なプロセスです。リサイクル技術は年々進化しており、現在では様々な方法が実用化されています。
リサイクルの主な手法
熱分解法:高温で加熱し、樹脂(EVAシート)をガス化させてガラスやセルを分離する方法。ガラスの純度を高く保てるメリットがあります。
破砕分離法:パネルを細かく砕き、素材ごとの性質の違いを利用して選別する方法。処理スピードは速いですが、素材の純度が低くなることがあります。
これらの方法で、アルミフレームやガラス、銅線、銀、シリコンといった貴重な資源が回収され、新たな製品の原料として生まれ変わります。技術開発は今も進んでおり、より低コストで高効率なリサイクル方法の確立が期待されています。
未来に向けた取り組み
太陽光発電を真にサステナブルなエネルギーとするために、リサイクル技術の向上と社会システムの構築が急がれています。欧州連合(EU)のように、製造者が製品の廃棄・リサイクルに責任を持つ「拡大生産者責任(EPR)」の導入も、今後の重要なテーマとなるでしょう。
株式会社サンエーは、太陽光発電の導入設計から施工、そして将来の適切な処分まで、アフターケアを含めてトータルでサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。