脱炭素の潮流
では改めて脱炭素の潮流を説明します。
脱炭素の潮流とは、地球温暖化を防ぐために、化石燃料などから排出される二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを削減し、2050年までにカーボンニュートラル(CO2排出量と吸収量のバランス)を実現することを目指す動きのことです。
世界的には、2015年に合意されたパリ協定が脱炭素化の推進に大きな影響を与えました。2021年11月時点で、154カ国・1地域が2050年等の年限を区切ったカーボンニュートラルの実現を表明しています。
日本では、2020年10月に菅首相が「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。その後、2021年6月には地域脱炭素ロードマップが発表されました。これは、地方から脱炭素社会への取り組みを始めるための指針です。
脱炭素社会への移行は、エネルギー価格や安全保障など様々な課題や影響を伴いますが、世界的な潮流として加速しています。
畜産業の脱炭素化
畜産業の脱炭素化とは、畜産業が排出する温室効果ガスを削減し、気候変動に対応する取り組みのことです。畜産業は、牛や豚などの家畜が消化過程で発生させるメタンや、飼料作物の栽培や肥料の使用による二酸化炭素などで、世界全体の温室効果ガス排出量の約15%を占めています。
脱炭素化社会に向けて、農林水産省は農林水産分野の基本的考え方を策定しました。その中で、畜産業においては以下のような施策が提案されています。
・飼料作物の国内自給率向上や有機物循環型農業への移行
・家畜糞尿処理施設やバイオガス発電設備などの普及
・家畜消化管から排出されるメタンを抑制する飼料添加剤やワクチンなどの開発
・畜産物需要と供給のバランスを考慮した適正な生産量・消費量・輸出入量の確保
・気候変動緩和プロジェクトによる温室効果ガス排出量の20%削減技術の開発

※令和3年12月 農林水産省 農業分野における地球温暖化対策について
上記に挙げたような脱炭素化の施策は行われていますが、燃料費の高騰と円安の影響により、畜産業は電気代や飼料価格の上昇で大打撃を受けました。そのため、経費削減が大きな課題となっています。
そこで注目されているのが、養鶏場などにおける自家消費型太陽光発電システムの導入です。古い屋根では設置できない場合もありますが、地面設置型など工夫を凝らして成功している事例も増えています。
施工概要
屋根設置が難しい鶏舎では、隣接する敷地内の地面に太陽光パネルを設置し、発電した電力を鶏舎に供給する方法が採用されました。広い敷地を活かして地面設置を行うことで、屋根より多くのパネルを設置でき、より多くの電力を生み出せる利点があります。
このように設置方法を工夫すれば、どの産業でも太陽光発電システムの導入が可能です。最近では、鳥インフルエンザなどの影響で卵価格が上昇していることから、価格転嫁と同時に原価を抑える工夫が重要になっています。

※畜産業 養鶏場の設置事例
設置効果
今回の事例では、自家消費型太陽光発電システムの導入により、電気代が上昇した4月以降の増加分をすべて相殺し、年間約140万円の電気代削減を実現しました。
設置企業の代表者は「導入して本当に良かった。もし導入していなければ経営が厳しかった」と語っています。
このシステムは国や自治体の補助金(最大2/3補助)や税制優遇も受けられ、3〜5年で投資回収が可能です。
株式会社サンエーでは、自家消費型太陽光発電システムの提案から施工、メンテナンス、補助金申請まで一貫して対応しています。電気代削減や補助金情報のご相談もお気軽にどうぞ。