トヨタが年間150万台のBEV販売を宣言

今後数年間で、自動車業界のあり方は大きく変わることが予想されます。トヨタ自動車が年間150万台の電気自動車（BEV）の販売を目指すと発表し、この潮流を象徴する事例となりました。今回は、この変化が業界にどのような影響を及ぼすのかについて考えてみましょう。

世界のBEVに関する動向

世界の自動車市場では、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとしてBEV（Battery Electric Vehicle：バッテリー電動自動車）の普及が急速に進んでいます。

欧州では環境対策の一環としてBEVの普及が特に進んでいます。多くの国が2040年までに内燃エンジン車の新車販売を禁止する方針を打ち出し、この方向性はBEV市場の拡大を後押ししています。ノルウェーやオランダなどでは、早くも電気自動車が新車販売の大半を占めるほどになっています。

北米では、テスラが性能とデザインを兼ね備えたBEVを展開し、そのブランド力で市場をリードしています。米国政府も普及支援を強化しており、今後さらなる成長が見込まれます。

中国も環境問題解決と国産技術育成を目的にBEVを推進し、すでに世界最大の市場となっています。

このように、世界各国でBEVシフトが進み、従来の大手自動車メーカーも本格的に参入しています。短期的にはコストや開発負担の課題があるものの、長期的には避けられない変革となっています。

トヨタは環境問題、電動化、自動運転、モビリティサービスといった複数のテーマに対し、全方位的な戦略で取り組んでいます。

ハイブリッド技術で培った知見を活かし、より環境負荷の低い車づくりを進めています。また、BEV・PHEV・FCVなど、利用目的や地域に応じた多様な電動車を展開しています。

安全技術や自動運転の開発も進め、事故防止と新たなモビリティサービスの両立を目指しています。

さらに「所有から利用へ」と移行する社会の中で、モビリティサービスプロバイダーとしての役割も担っています。

この全方位戦略により、トヨタは持続可能な社会と自動車産業の未来を切り開こうとしています。